くるみざわしん氏の書下ろし作『コーヒーとカレーと見田さんと』を小笠原響氏の演出にて上演致します！！

 

 

【ものがたり】

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山に囲まれた郊外のとある街。新しい駅ビルに移築されたコーヒー店「Mori」は、近所に住む常連たちのコミュニティとなっている。そんな人々の日常に、数年前に近隣の街で、地元の男性がホームレスの女性を殺害した事件が静かに絡まりあう——夏のはじめのものがたり。

 

 

【作者より】

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「あなたもっと明るい色の服を着てみたら。元気出るかもよ」

お代わりのコーヒーと一緒に届く忠告と励まし。毎回同じ席に座り、モーニングをすませるとコーヒーをお代わりして、ランチにサンドイッチを食べ、午後まで原稿を書いている私に、女が一人でコーヒー屋を開いてこの町で商売を続けるのがどんなにたいへんだったかを聞かせてくれた。

前を向いて明るく生きなくちゃ。

黒か灰色の服しか着ない私にいらだって、なんとかしなくてはと思っていてくれたのかもしれない。

コーヒーと食事のお金は払っていたけれど、それ以上のものを与えてもらってばかりだった。そんな客ばかりだったあの店を脚本に書いてみたいと思った。メニューにカレーを加え、謎の見田さんがいるようないないような店を―。

明るい服を着た常連たちは店に入りこんできた暗い闇を迎え入れて、一緒に時を過ごす。

暗い闇だった私の居場所だったあの店にたくさんの人を招いてみたい。

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くるみざわしん